診療科・部門整形外科

整形外科とは

整形外科とは
整形外科医が関わる病気は,⾻折・脱⾅などの外傷,スポーツ外傷・障害,変形性関節症や関節リウマチなどの関節疾患,⾻粗鬆症,椎間板ヘルニア,脊柱管狭窄症,靭帯⾻化症などの脊椎・脊髄疾患,⾻・軟部腫瘍など多岐にわたっています.これらはいずれも⼈が⽴ち,歩き,⼿を使うのに必要な運動器の機能を障害するものです.私たち整形外科医は,患者さんに運動療法や薬物療法などの保存療法そして⼿術療法などの適切な医療を提供し,運動器機能の維持・改善の⼿助けを⾏います.また,治療のみでなく運動器疾患の予防や知識の啓蒙にも⼒を入れています.

診療内容

外来診療
⽉・⽔・⾦の午前に3⼈のスタッフで外来診療を⾏っています.当院は地域医療⽀援病院に指定されており,⼊院や救急・専⾨的な検査や治療などを中⼼に提供しています.当科は予約のある患者さんを優先的に診察しており,初診の際には基本的に紹介状が必要です.⼀⽅,症状が安定した患者様は地域医療連携を通して,開業医や医療関係施設にご紹介しています.また,外来でのリハビリテーションは行なっておりません.

入院診療
⾼齢化を反映し,⼤腿⾻近位部⾻折を代表とする脆弱性⾻折や⼈⼯関節置換術の手術症例が多いのが特徴です.骨粗鬆症診療に力を入れており,骨折リエゾンサービス委員会を中心に⼤腿⾻近位部⾻折に対する⼊院後48時間以内の早期⼿術と早期離床,⼆次性⾻折予防を積極的に⾏っています.2022年より大腿骨近位部骨折に対する「緊急整復固定・挿入加算」,「二次性骨折予防継続管理料」を算定しています.⼈⼯関節置換術はナビゲーションを用いた低侵襲で正確な手術を行なっています.

⼿術実績
2024年度は⾻折観⾎的⼿術(⼤腿)76件,⼈⼯⾻頭挿⼊術(股)73件,⾻折観⾎的⼿術(上肢)87件,⾻折観⾎的⼿術(下肢)24件,⼈⼯関節置換術(膝)29件, ⼈⼯関節置換術(股)12件など計462件の⼿術を⾏いました.

骨折リエゾンサービス活動

当院では多職種(医師・看護師・薬剤師・リハビリテーション科・栄養士・社会福祉士・事務)で連携して,骨粗鬆症の治療・啓発活動を行っております.特に骨粗鬆症により,大腿骨や脊椎の骨折で入院した患者様の再骨折予防に力を入れて活動しております.この活動は国際骨粗鬆症財団(IOF:国際的な骨粗鬆症治療・予防・啓発活動に取り組む財団)から銅賞の認定を受けています.
2022年4月からの1年間に当院で入院治療を行った大腿骨近位部骨折121例の79例(64.2%)で48時間以内に手術を施行しました.骨粗鬆症治療継続率は,退院時が85.9%,術後30日が86%,120日が53%,365日が52%でした.この取り組みの成果については西日本整形災害外科学会,日本リハビリテーション学会,沖縄県医学会,骨脆弱性骨折ネットワーク学術集会で報告を行いました.

スタッフ紹介

池間 正英
平成6年琉球⼤学卒業
医学博士,⽇本整形外科学会専⾨医・スポーツ医・脊椎脊髄病医・指導医,⽇本救急医学会専⾨医,⽇本⾻粗鬆症学会認定医,技師装具等適合判定医師,臨床研修指導医
宮古島生まれです.宮古島の皆様の健康寿命を延伸できるよう頑張ります.

伊波 優輝
平成28年琉球⼤学卒業
⽇本整形外科学会専⾨医
宮古島での整形外科診療に全⼒で取り組みます.

安水 眞惟子
令和2年琉球大学卒業
日本整形外科学会会員
少しでも宮古島の皆様のお役に立てるよう,日々精進してまいります.よろしくお願いいたします.

 

学会発表・講演,論文等
・石川 樹,宮古医療圏地域医療支援病院における大腿骨近位部骨折手術例の検討,整形外科と災害外科,72(4),625-627,2023
・池間正英,小児上腕骨顆上骨折:保存治療の実際と限界,MB orthopaedics,36(6)13-22,2023
・武市憲英 離島におけるオンラインを利用した先天性内反足(Ponseti法)の1例,第34回日本小児整形外科学会学術集会,2023年11月24日,神戸
・池間正英,離島地域医療支援病院における大腿骨近位部骨折治療の検討,第7回日本リハビリテーション医学会秋期学術集会,2023年11月4日,宮崎
・池間正英,プラス10分のすすめ,第2回宮古島健康フェスタ,2024年3月20日,宮古島市
・池間 正英,当院における二次性骨折予防の現状と課題,第136回沖縄県医師会医学会総会 2024年6月9日,沖縄 
・伊波 優輝,小児上腕骨顆上骨折に対する保存治療の成績,第35回日本小児整形外科学会学術集会,2024年12月13日,福岡  
・池間正英,第2回宮古島健康フェスタ開催報告,沖縄県医学会報,60(8)58−59,2024
・國吉 真紀子,山田 ゆりあ,比嘉 小也音,瓜生 絢子,池間 正英,幸地 貴子 離島における二次骨折予防の現状と課題,第12回日本脆弱性骨折ネットワーク学術集会,2025年3月7日,北九州市

疫学研究・臨床研究に関する情報の公開

当科では様々な疫学研究・臨床研究を行っております.通常は文書もしくは口頭で説明・同意を行い実施しますが,臨床研究のうち患者さまへの侵襲や介入もなく診療情報等の情報のみを用い研究や,余った検体のみを用いるような研究については,国が定めた指針に基づき対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得る必要はありません.ただし目的を含めて研究についての情報を公開し,拒否の機会を保障することが求められており,このような手法を「オプトアウト」と言います.当科で行っているオプトアウトを用いた臨床研究は下記の通りです.研究への協力を希望されない場合は,文書内に記載されている担当者までお知らせください.

日本整形外科学会症例レジストリー(JOANR)構築に関する研究
日本脆弱性骨折ネットワーク(FFN)による多施設大腿骨近位部骨折データベース